第8話

僕は携帯のない時代と、携帯がある時代をちょうど半分づつ生きた世代だ。

 

高校生からPHSが普及し、大学生で携帯電話、SNSが普及したのは成人してちょっと経った頃だと記憶している。

 

何故こんな事を急に思ったのかといえば、自分が無意識に順応していることに気づいたからだ。昨日の一晩中のLINEによって。

 

一晩中のLINE。

これは昔だったら、何にあたるかな?

 

人は気づかないうちに更新され、過去を忘れている。

 

それ以前の連絡の取り方はどんなものだったか、正直あまり覚えていない。

友人や恋人との待ち合わせや付き合い方はどんなものだったのか具体的には思い出せないのである。

 

思い出すのは、彼女の家にかける電話。

家族が出たらどうしよう?何時にかけるから絶対出てね!と約束したな、会うたびに。

 

あのドキドキ感は、甘酸っぱい青春の恋愛の思い出のドラマチックな額縁として今も輝いている。

綺麗だね、思い出ってのは。

 

それからmixiの時代がやってきて、気になってる人からの足あとがあると一喜一憂したもんだ。

僕の日常を見てくれるゾクゾク感。

 

でもそれはすぐにマンネリ化して、最初の頃の背徳感や快感は何処へやら。慣れるもんだね。

あの時死ぬほど悩んだことも、天に昇るほど嬉しかったこともほとんど忘れてしまった。

 

けれど、大きく時代が変わっていくちょうど狭間にいたような感覚は残っている。当たり前がとても短い時間のうちに違う当たり前に変容した。

 

でも、何年経っても、どう時代が変わっても根本的に人間同士の付き合いは変わるわけではないんだよね。結局は会って、話して、笑い合って。

愛し合うことも会わないとできない。

 

 

とまあ、こんな他愛のないことでも、こうしてメモすることで将来何かに役に立つかもしれない。

 

 

60歳になる僕、見てますか?

この時代に主流だったSNSでの当たり前の聞き方で問いかけてもいいかな。

 

 

いま何してる?

 

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