第18話

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なんとなく、目黒川沿いを散歩した。

 

満開の時期と比べ人の波は殆どなくなり、まばらになった人通りの中、若いアベックが花を眺めていた。

 

男の子は『花なんか実はどうでもいい、本命の桜は君だ!』そんな声が聞こえてきそうなほど幸せな光景である。うんうん。

 

葉桜が風に揺られ、緑色と桜色をスリスリしながら『主役の座は君の目の前の女の子に譲るよ。』なんて微笑んで囁いているように見えた。

 

桜が主役だ、という人たちは桜に思い思いのストーリーを投影し楽しむ。まるで義務かのように花見に行き、騒ぎ、そして散った後は何も無かったかのように次の主役を待ちわびる。夏休み、バーベキュー、秋の紅葉、冬景色。

 

人混みの津波、欲望渦巻く轟音の中、都会の雑踏に咲く桜がはたして美しいのか?そんなうがった見方は置いておいて、ただ目の前の季節が変わりゆく姿を見ながらの人間観察はオツなものである。

 

私の平成最後のお花見、をしている花見客を見る行事が終わった。

 

僕の人見はこの先もきっと、ずっと続く。

 

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