第7話
テクノミュージックやナイトクラブは薬物の温床、みたいに言われていると今は『え!そうなの?』って思ったりする。
今は、というのは理由がある。
僕も若かりし頃は、クラブミュージックに対して偏見があった。どうせドラッグみんなやってるんだろうな、と。
少数派でいたい僕は、絶対ドラッグはやらないと誓った。
クラブに警察が来て皆が捕まる中で僕だけは無罪となり、無音のダンスフロアで全裸になる、みたいな妄想をして喜んでいた。変態だな。
しかし今となってわかったこと。
結論をいうと、クリーンです。
あるところにはある、ないところにはない、それだけの話なのでは。もう何年もVJをやっていて、そんな経験をしたことは一度もない。
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話は変わるが、私は顔がジャンキーっぽいと言われがちで、嫌な思いをしたことがかなりある。
今でもすぐ職務質問されるのは悩みの種だ。
先日は5人に囲まれ、辱めを受けた。
何もやましいことがないので当然拒否することはなく、終始穏やかに対応する僕は10分ほどで解放された。
『すいませんねー』と言われたので『まあよくされるので大丈夫ですよー』と返して大人の対応を披露していたのだが、
警官のうちの1人が『白々しい顔しやがって…畜生、今日は勘弁してやるが、いつか現場抑えて絶対掴んでやるからな!』という顔をしていてちょっと面白かった。
私は通りがかりのただの紳士ですよ。そんな憎悪に満ちた顔でこっちを見ないで欲しいものだ。
逆に、「ドラッグを持っているか?」と全く知らない人に声をかけられたりもする。悪そうな兄ちゃんだったり、旅行中の外国人にだ。
悪そうな兄ちゃんには『君はどこの田舎から出てきたんだ?』と返した。
彼は全体的に黒光りしていて、EXILEにでもなりたそうな雰囲気を醸し出していた。けどあれじゃEXILEの3軍でも無理だな…育成契約も厳しそうだ(突然の野球ネタ)。
彼はちょっと怒って夜の街に消えていった。
黒いからすぐに見失った。
外国人はなんと『What kind of drugs..』と来たので笑ってしまった。
僕は薬局か!マツモトキヨシを親切に教えてあげたが目がマジだった。
『日本の警察は厳しいぞ…ハラキリさせられちゃうかもよ?』と返す。
彼は青い顔をして(元々白かったけど)どこかに消えた。
とまあ、このように疑われることがしょっちゅうで悲しいんだよね。
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僕は人の想像力の外側にいたい人間だ。
カウンターカルチャーのカウンターでいたいという願望が強い。
今でもダンスフロアで微動だにせずに、ただひたすら音を跳ね返す遊びが好きだ。
踊ろうよ、と言われたら意地でも踊らない。
本当、更生のしようがない。
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ちょっと長くなりましたが。
クリーンな日本のテクノミュージック周辺を誇るべきなんじゃないかと。海外の人から見ると、日本のナイトクラブはそういう認識なんじゃないかな?
創作に関して言えば、アーティストはドラッグがあるから素晴らしい作品を作れるんだ、みたいな考え方が僕は苦手。
繊細だからまんまと中毒になって、いい作品を作って金を稼いでまたドラッグにつぎ込む、みたいな負の連鎖はあり得ると思うけど。
そんなことチャーリー・パーカーも言ってなかったかな、忘れちゃった。
とにかく皆映画の見すぎなのでは?としか思えない。というかピュアだな本当。
そんなこと言ったらロックアーティストはみんなヘロインに溺れて、常に女を取っ替え引っ替えしてると本気で思ってるのだろうか。
僕はそんな爛れたぐちゃぐちゃした世界より、目の前の刻一刻と変わる夕暮れの空の色を見て涙を流す方が好きだ。
裸で。
先を思うと不安になるから今日のトコロは寝るしかないね。
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